里親になりたいと志してから、
思ったよりも時間がかかってしまったけれど、
この夏から ようやく、
養育里親としての生活が始まりました。
夫婦そろっての研修や実習、
個別の面接、家庭訪問、
さらに、
いくつかの調査や審議を経て、
無事に、里親の認定がおり、
認定から ほどなくして、
一人目の里子の受け入れ打診がありました。
「養育里親」とは...
さまざまな事情で、
親元から離れて暮らしている子どもたちを
一時的に、家庭に迎えて育てていく人。
親権は、実親さんにあるので、
法的な親子関係はありません。
里子を預かる期間は、
ケースバイケース。
数日間だけのお預かりだったり、
成人するまでの数年間を共に過ごしたりと、
本当に ぞれぞれ。
我が家の場合は、
里親としても 初心者で、
実子も一緒に暮らしていることもあり、
一時保護された 子どもを
数週間ほど お預かりする…という
短期委託の形で、
現在は、養育に参加しています。
ほんの数年、
片手で数えられるほどしか生きていない
まだまだ 小さな命。
実親さんの 身体的・経済的理由、
ネグレクト、発達症、虐待、養育困難…
私たち里親には、
最低限の断片的な情報しか入らないけど、
それでも 様々な経験をして、
今に至ったことが分かる 里子たち。
どの子も、
わりとすぐに 我が家に馴染んでくれて、
初めての場所にも臆することなく、
無邪気に遊ぶ様子に ほっとする反面、
両親や自宅などを
恋しがる様子が 全くないことに、
少しだけ 違和感を感じたり。
数日たつと、
甘えん坊が始まって、
一日中、「だっこ だっこ」で、
食事の時すら、
椅子に座らせようとすると
大きくのけぞって、断固 拒否。
抱っこで、ごはんを食べる姿に、
「こまったなぁ」と言いながらも、
愛おしさが溢れたり。
いきなり 冷凍庫を開けて、
躊躇なく氷を食べる 手慣れた様子に、
なんとな~く、これまでの暮らしぶりを
勝手に想像してしまったり。
我が家の末っ子にとっては、
初めての弟妹で、
お世話に、遊び相手に、と
振り回され… 奮闘する様子を
みんなで ニヤニヤ見守ってみたり。
余りにも素早く
ウォシュレットのボタンを押すので、
里子と私、二人びしょ濡れになり、
なんども繰り返す その好奇心に負けて、
しばらくは、ウォシュレット封印
の措置をとってみたり(笑)
我が家で お月見をして、
「おつきさま」が分かるようになり、
朝でも、昼でも、曇りでも、
「おっちゅーーまーー!!」と
月を探しまわる 幼児らしい姿に、
ほっこり 癒されてみたり。
おむつハズレが まだだった子の
初めてのトイレ成功に、
思わず、夫婦二人して喜んで、
代わる代わるに 褒めちぎってみたり。
どこにでもある
「育児あるある」な風景の中に、
時々、少しだけ入り混じる
里親としての 初めての育児体験。
すぐ隣にいるのに、
泣いていることに 気づけないほど、
声を押し殺して、
ぎゅうっと うずくまって泣く姿に、
たまらなく 胸が痛くなったり…
そして、
普段あんなに 抱っこをせがんでくるくせに、
こういう場面では、
助けを求めようともしない 小さな姿に、
今、一番そばにいる大人として、
とても寂しく思ったり。
だから 逆に、
声をあげて「いやだいやだ」と
子どもらしく 大声で泣く姿に、
どこか 安堵する自分がいたり。
里子から、
ふいに飛び出してくる 粗暴な言動に、
ビックリすると同時に、
そういった言動が、
身近にあった環境に思い至って、
なんとも言えない気持ちになったり。
里親になる前の研修で
事前に 学んではいたけれど、
どの子も、
「食べることへの執着」がすごくて…
いざ目の当たりにすると、
ビックリを通し越して、
さすがに ちょっと心配になって、
支援機関に相談すると
「吐くまでは あげていい」とのこと。
「いずれ気持ちが満たされたら、
自然に落ち着くから」と…。
自分たちだけの暮らしでは
決して知り得ることのなかった
社会的養護を必要とする子どもたちの
生々しい現実に、
モヤモヤや やるせなさを感じたり、
そんな
大人でも持て余す 感情や憤りを
上の子どもたちと共有することで、
彼らなりの想いや成長、頼もしさを
実感することになったり。
自由奔放を極める 里子を連れて、
お出かけしていたら、
「お母さん、もっとしつけを頑張って」
と声をかけられたことも(苦笑)
20年前の自分だったら、
それだけで数日は
落ち込んでいたかも なんて思うけど、
今の自分は、
「何も知らない 外の人から見たら、
当然そう見えるよね~。
というか、ちゃんと親子に見えてるのね」
くらいに、大いに納得していたり(笑)
実子の子育てとは違って、
「試し行動」なども強めに出てくるので、
受け止めることが 何より優先で、
怒るどころか、
叱ることさえ 安易にはできないような
まだまだ 不安定な関係性。
たった数週間、
我が家で 甘やかすだけ甘やかして、
また 手を離すことが、
里子にとって良いことなのか、
自分でも、正解が分からない…
どこまで 甘えを受け入れ、
どこまで わがままを許すのか...
理屈では、
その必要性を分かっていても
本当に これで大丈夫なのかと...
乗り切った経験のなさのせいなのか、
いくら 夫婦で話してみても、
ぬぐい切れない 迷いや葛藤。
一方で、
24時間 ずっとに一緒にいれば、
カチンとくることや、
理不尽すぎる思いをすることも
多々あるけれど、
これはもう
育児あるあるだから シカタナイ。
できるだけ 落ち着いて、、、
叱ることが まだ無理なら、
伝え続けることを 心がけて、、、
その結果、
ただの「ツッコミが忙しい人」
と化している私(笑)
出先で 人見知りを発動して、
私に しがみつく里子を見て、
「そんなに懐いていると、
情がわくでしょう」
と 慮ってくれた、
読み聞かせボランティアの先輩方…
目の前の出来事に翻弄されて、
ただただ、
必死で子育てしていたけれど、
「これが 情がわくってことかー」
と、初めて腑に落ちた瞬間でした。
里子の預かり期間については、
児相が決定することなので、
我が家には 決定権がなく、
次は どこへ行くのか、
施設なのか、
自分の家へ帰るのかさえも、
よく分からないままお別れすることも。
「教えて欲しい」とは思わないけれど、
里子が去った後に、
宙ぶらりんな気持ちが残るのも確か。
「癇癪おこさずに 眠れてるかなぁ」
「ご飯は 絶対しっかり食べてるよね」
「相変わらず朝5時に起きてるかな」
家族で そんな話をしながら、
ただただ、次の場所でも
たくさん笑って、遠慮せずに泣いて、
元気に過ごしてほしいと願うばかり。
お預かり終了の日、
出迎えた 児相の担当者さんが、
「表情豊かになったねぇ」
と言ってくれた一言が、
どれほど 嬉しかったことか。
私たち自身、
知らないことだらけ、
分からないことばかりで、
不安や 困りごとも多いけれど、
児相や支援機関の人たちが、
こまめに連絡や家庭訪問をしてくれて、
心理士や 保育士、
ソーシャルワーカー、
さまざまな分野の人が携わってくれて、
里子のことだけでなく、
実子たちの気持ちのケアも含めて、
サポートしてもらっていて、
特に、小学生の末っ子に関しては、
学校の先生方も、
見守りをしてくれていて…
とても 贅沢な子育てを
経験させてもらっているな~
と、つくづく感じる日々。
孤独にならない/させない育児って、
ほんっとうに 大切!!!!!!
とても ありがたい環境です。
里親をやりたいと言いつつ、
踏ん切りのつかなかった私を
後押ししてくれた夫にも、
そんな母のエゴを
何の躊躇もなく 受け入れてくれた
4人の子どもたちにも、
その他、たくさんの
周りの人たちの理解や協力のおかげで、
こうして里親を実現できたことにも、
本当に、
毎日、感謝することばかりです。
願わくは、
里子との出会いや経験を重ねる中で、
私自身も、
ちょっぴり成長していけますように...
我が家の都合さえつけば、
間を置くことなく、
次々に 委託の打診が来ることに、
正直、今はちょっと
ビックリもしているけれど(笑)
初心者の 里親なりに、
次は、どんな子が来るのかなと
家族で楽しませてもらっています~*